「レシピ通りやってるのにパンがふくらまない」「一度はふくらむけれど焼きあがる頃にはしぼんでしまう」「材料や手順をいろいろ工夫してもダメ」という人、それはあなたが悪いのではなくて、レシピが悪いのかも。
◯背景、経緯
ホームベーカリーを手に入れてから、付属のレシピに従ってバターロールを何度も作ってきたのだが、毎回ぺちゃんこにつぶれてしまうという残念な経験を繰り返してきた。
しかし、レシピと違う配合にしたらしっかりふくらみ、味も上等で、店で売っているバターロールと変わりないものができるようになった。また、作っている途中のパン生地の様子もレシピに書かれた描写とは違っており、これでレシピの信ぴょう性を疑うようになった。
他の料理のレシピではこんなに実際とかけ離れることはないのだが、もしかしたらパンではよくあることなのかもしれない。というのは、今回に限らず、レシピ通りにしてうまくいかない経験を何度もしているからだ。
以上から、ことパンに関してはレシピは絶対ではなく、状況を見て自分で修正することが必要と思うようになった。
◯記事の目的
この記事の目的は「パンが膨らまない」「いったんは膨らむが、焼きあがるまでにつぶれてしまう」といった場合に、材料の配合をどう修正すべきかを提案するものである。
◯失敗した例
まず、うまくいかない状況を示す。これと違う状況の時は、申し訳ないが今回の手法は役に立たず、別の手法が要るだろう。
・パン生地が水っぽくゆるく、ベトベトしてあちこちにくっつく。
・1次発酵、2次発酵である程度は膨らむが、焼きあげるまでのどこかの段階でしぼんでつぶれてしまう。
・元のレシピでは、粉の重量を100とした場合、水が50、塩が1であった。
◯失敗原因の分析
パンがつぶれてしまうのは、パン生地がゆるくて自重を支えられないことと、もうひとつ、パン生地がゆるいためにイーストが発生した二酸化炭素を漏らしてしまうためである。だから生地の強度を上げることが必要。
◯修正例1 水を減らす。
生地が水っぽいのだから、単純に水を減らす。
粉の重量を100とした場合、水を30位にすることでパン生地は粘土のように硬く、べとつかず、レシピと違って打ち粉が必要ないものになった。そして、結果として焼きあがったバターロールは十分に膨らみ、美味しく食べることができた。
下は作例
なお、水が少なすぎると、生地がボロボロになったり、粉が残ったりする。また生地が硬すぎるとホームベーカリーでこねられなくなる。できれば、最初は生地がゆるくてホームベーカリーでこねられ、こねていくうちにグルテンができて硬くなるのが良いのだが、そうなるための水加減はかなり難しい。(適正な水の量の幅が狭い)
◯修正例2 塩を増やす。
塩を増やすとグルテンの生成を促し、生地がしまる。具体的には粉の重量が100ならば、塩を2〜4くらいにする。
この方法では、生地が最初はゆるくても、こねていくうちにグルテンができて硬くなっていく。塩はこの、ゆるい→硬いの変化の幅を広げる効果があるので、適当な硬さになった(グルテンができた)所でこねを止める事ができる。(ホームベーカリーなら、ほっておいても生地が硬くなれば羽の上で転がるだけになるので実質的にこねが止まる。)
この方法の欠点は、塩が4にもなるとパンがしょっぱくなることであり、またイーストが塩に弱い種類だと活性が下がり、かえって膨らまなくなる恐れがある。
◯修正例3 ビタミンCを添加する。
ビタミンCも塩同様にグルテンの生成を促し、生地をしめる効果がある。
塩ほどはっきりした効果はないのだが、塩と違ってしょっぱくならないし、イーストの活性にも影響しない。
ただ、必要な量は、粉が100ならばビタミンCは0.004(4mg)程度と非常に微量で、計量に工夫が要る。
また修正例の1と2を組み合わせれば3まで必要になることはおそらくないだろうから、この方法が要るのはなにか特別な事情がある場合だけだろう。
◯おまけ ビタミンCの計量の仕方
ビタミンCはごく微量で十分であり、その微量を正確に計量する方法を紹介する。
(1) プッシュ式の霧吹きを用意し、水を入れて重さを測る。
(2) 霧吹きを10回押して水を吹いた後で、また重さを測る。
(秤が0.1g単位でなくて1g単位の時は、100回にする。)
(3) (2)と(1)の差を、押した回数で割った量が、この霧吹きを1回押した時の噴出量である。
(4) ビタミンCのサプリメントを用意し、ビタミンCの含有量をmg単位で記録しておく。
サプリメントはカプセル式で、中が粉末か顆粒になっているものが好ましい。
参考にファンケルのビタミンCサプリメントは350mgのビタミンCを含んでいた。
(5) 100gの水を用意し、サプリメントを溶かす。
(6) 霧吹きを空にして、(5)の水溶液を入れる。
(7) 次の計算をする。
1吹きあたりのビタミンCの量(mg) = 霧吹きの1回の噴出量(g) / 100 * サプリメントのビタミンC含有量(mg)
霧吹きを押す回数 = 4 / 1吹きあたりのビタミンCの量(mg) * パン生地に使う小麦粉の量(g) / 100
参考までに、ここまでの条件で200gの粉に対して6.5回となった。
(8) (7)で計算した回数だけ霧吹きを押して、材料に水溶液をかける。
なお、(7)の式の4(mg)は目安なのでいろいろ試してみると良い。塩と違って、入れすぎても食べられないほどひどいものにはならないようである。