電動パーキングブレーキとアイドリングストップの関係
(2020/11/6追記) モデルチェンジしたレヴォーグ(2020)での調査もこちらに掲載しました。
今回はいつにも増して、読む人が限られそうな話だ。
とりあえずスバル レヴォーグのオーナー向け。
* * *
なんだか最近の車は電動パーキングブレーキとかアイドリングストップとか、運転手が操作しなくても勝手に動作して、なにがなにやらわからない。しかもこれらは、メーカー、車種、年式によっても動作が違っているらしい。
縁があって調べたとある車種(スバル レヴォーグ)では、上の2つに加えてAVH(Auto Vehicle Hold)というものが関係してきてさらに複雑だった。(AVHはスバル用語で、他のメーカーでいうところのオートブレーキホールドであり、赤信号で停止したり坂道で停止した時に自動で電動パーキングブレーキがかかり、ブレーキペダルから足を離しても良くなる機能)
この複雑なものを理解するのに、何か糸口はないかと調査してみた。調査に使ったのは車の取説。そこから関係する記述を拾い出して、どういう条件でどういう動作をするのか整理し、裏にあるポリシーのようなものを推測してみた。
その結果、非常に大雑把であるが下のような方針なのではないかと考える。
なお、下では断定口調で言ってるところが多くあるが、もちろん私は関係者でないので、作ってる側が本当はどう考えているのか知らない。
さて、まずはアイドリングストップについて。
アイドリングストップは基本的に
・ブレーキペダルを踏んで止まったときにエンジンを停止する。
・ブレーキペダルを離すとエンジン始動。
・もしAVHを使っているならブレーキペダルを離してもエンジンは停止したまま。
・AVHによるブレーキが解除されたらアイドリングストップも解除してエンジン始動。
次に電動パーキングブレーキは
・運転手がスイッチを引いたときにブレーキをかける。
・運転手がスイッチを押したときにブレーキを解除する。
・ブレーキがかかってる時にアクセルを踏んでもブレーキを解除する。
スバルの電動パーキングブレーキには(AVHが無いと)、一般にいうところのオートブレーキホールドの機能は含まれておらず、手動操作でしかブレーキをかけられない。また、スバルでは電動パーキングブレーキ中はアイドリングストップは解除される。(エンジンが回り出す)
「え?それではアイドリングストップの意味ないじゃん」と思うだろうが、とりあえず次のAVHの動作もみてほしい。
AVHは基本的に
・ブレーキペダルを踏んで停止した時にAVHが作動してブレーキを保持する。(その後ブレーキペダルから足を離しても良い。また、アイドリングストップが作動してエンジンが止まる)
・アクセルペダルを踏むとブレーキを解除する。(アイドリングストップも解除されてエンジンがかかる)
・AVH作動中(ブレーキ保持)の間に特定の条件が成立すると電動パーキングブレーキに移行する。(ブレーキは保持されたまま。アイドリングストップは解除されてエンジンがかかる)
AVHは、アイドリングストップと両立できるブレーキ保持機能として追加されたものであり、取説では電動パーキングブレーキとは別物として扱われている。(2つの機能が本当にどれだけ独立なのかは知らないが、たとえばハードウエア的に全く同じものを共有していたとしても何も困らないだろう。)
なぜこんな違和感のある機能の構成にしているのか。それはこういうことではないだろうか。
上述の基本的な動作ではよくわからないが、詳細に調べると(下のダウンロードでまとめたものが見られます。)、スバルのAVHは、急な坂道での停止や急ブレーキで停止した時に作動せず、素通りして電動パーキングブレーキに移行する動作になっている。(エンジンは回り続ける)
おそらくこういう状況では、停止した後でもすぐに動けるようにエンジンを回したままの方が安全であると考え、アイドリングストップを使わないのだろう。
多分、スバルは安全面からエンジンを止めることに慎重で、アイドリングストップが必要であるにしても、人がブレーキペダルを踏んで止まる意思をはっきり示している間だけにしたい。だから電動パーキングブレーキではアイドリングストップしない方針にした。
それでも、赤信号や坂道でブレーキペダルから足を離したい要望がユーザーにあり、その間までアイドリングストップをやめてしまうとアイドリングストップを使う場面がほとんどなくなるので、アイドリングストップと両立できるブレーキ保持機能(AVH)を追加した。ただし、デフォルトではOFFであり、使いたい人が車に乗るたびAVHのスイッチを押して、使用する意思を明確に示したときだけ動作可能になる。また、AVHのない状態での使用を容易にするため、取説で電動パーキングブレーキとはっきり区別している。
とまあ、私はこうではないかと思っている。こう考えるとちょっと変な動作も合点が行き、全体の流れを理解できる。
なお、調査で調べた各機能の動作を状態遷移表っぽいものにまとめたので、ダウンロードできるように下にリンクを貼っておく。穴だらけだし、私の推測で書き足したり表現を変えたところもあるので、鵜呑みにはしないように。こういう手間をかけたら複雑な仕様の裏に潜む考え方や方針が見つけられるかもしれない、という参考になれば嬉しい。
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