災害や戦争などの非常時に円高になる理由
ここ10年くらいか、災害や戦争の危機があるたびに円高になり、「リスクの高いときは安全資産の円買い」というのが投資家の間の常識のように言われている。たとえ、その災害や戦争の危機がまさに日本で起きていて、日本が危機であっても「円が安全資産」というのである。
どうにも理屈に合わないので、インターネットでいろいろ勉強したところ、自分なりに理解することができたが、「リスクの高いときは安全資産の円買い」はやっぱりうそっぽいし、的(まと)を得てない表現だと、返って強く思うようになった。そこでどういう風に理解すべきか、自分の言葉で以下にまとめてみた。
* * *
簡単にいえば「リスクの高いときの円買い」は、市場の雰囲気がリスク選好からリスク回避に切り替わり、流動性確保に向かうため、と要約できる。
日本国内では「何が起きるかわからない」と言うことで、流動性の最も高い資産=現金の需要が高まり、金融機関は円を調達しなければならないので、円高の要因になる。
理屈はそうなのだが、しかし程度が過剰である。被災地の人が1週間、1ヶ月の生活費を手元に置くならわかるが、被災地から離れている人まで多額の現金を持とうとする。このため、経済的合理性では説明できない水準まで円が高くなる。
また外国の投資家は、リスク回避に切り替わると一旦ポジションを解消して流動性を確保しようとする。これ自体は特定の通貨に有利不利はないが、普段から世界的に円キャリートレードが幅を利かせているせいで、ポジション解消で円の借金を返済しようとする動きが優勢で、円の需要が高まり、円が買われる。
円キャリートレードが幅を利かせている理由は、円の金利が主要国通貨の中でも低いため(ゼロ金利政策のため)である。
ちなみに非常時でなくても、日本がゼロ金利政策から脱却するとやはり円キャリートレードが成り立たなくなって円高になる。だから、今の円安の方が人為的に作られた非正常な状態、と見ることができる。言い換えると、円高になるのは異常なことではなくて、かえって正常な状態に近づいているのである。
(2019/2/26追記)
有事に円が強いことの別の理由を考えた。
IMFの公開情報によると、国別の対外純資産は日本が世界1位。だから、たとえ日本経済が危なくても、外国にある資産を少し売り払えばすぐに借金を返せる。外国人投資家はみんなそれを知ってるので、経済実態に関係なく円は下落しないし強い。これも、有事に円が強い理由の一つだろう。
(勤労統計をごまかすくらいなら円を安くするためにIMF提出資料をごまかせば良いのに。)
ところで対外純資産とは、政府と民間が持ってる対外債権から債務を引いたものだ。その内訳は外貨かもしれないし、債券かもしれないし、株式かもしれない。それぞれ価値は変動するし、程度の差はあるが紙切れになるリスクだってある。だから額ばかり大きくても、その内訳がアルゼンチンの国債だったりベンチャー企業の株券だったら、いくらあっても頼りにならない。
その点、日本はどうなのだろう。日本の場合は個人の投資家だけでなくて機関投資家もプロ意識が低いというか、リスク管理が甘い気がする。(GPIFが何兆も損失を出したりするし)
だから日本には、IMFの資料でわからない潜在リスクがあるように思う。
これがアメリカだったら(アメリカは日本の反対で対外債務がダントツで世界トップだが)、もし世界恐慌となったら会社を倒産させて株式を紙切れにし、デフォルトさせて国債を踏み倒して債務をチャラにできる。たとえそんなことをして世界からの信用をなくしても、アメリカ単独なら生きていける。だからドルは信用があるのだろう。
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