Silhouette Cameo 3, Curio調査
カッティングマシンを買うのに、Silhouette Cameo 3(シルエット カメオ3)とSilhouette Curio(シルエット クリオ)のどちらが良いか調べて、いろいろなことがわかったので、せっかくだから記録を残しておこうと思う。
◯カッティングマシンとは?
カッティングマシンとは、コンピュータの周辺機器であり、プログラムされた形に紙などを切り抜くものである。XYプロッタのペンの代わりにカッターが付いたもの、と言った方が分かるかもしれない。手作業で切るよりもずっと正確で細かい切り抜きができる。
また調べて行く途中でわかったのだが、カッティングマシンはアメリカの方が流行っているようで、紙を切り抜く以外の用途も多く、変わったオプションもいろいろ出ている。
◯代表的な製品
日本で売ってるものだと以下のようなものがある。
・ローランドDG STIKA
・GRAPHTEC Silhouette Cameo 3
・ブラザー スキャンカットCM300、CM110
このうち、ローランドDG STIKAは、Macで使うのに別途Adobe Illustratorが必要で大変お金がかかるので、購入候補から外れた。
ブラザー スキャンカットは布が切れる、パソコンなしで使える、というのが特徴で、コンピュータに詳しくない、手芸愛好家などが対象のようだ。
Silhouette Cameo 3 はMacからも使えて、仕様も細かいところまで分かるから、買う前に自分の用途に合っているか確認しやすい。
そこでSilhouette Cameo 3に絞って調査すると、どうやら実際に作っているのはGRAPHTECではなくてSilhouette America社らしい。そしてこのSilhouette America社には、Cameoに並ぶもう一つの主力、Silhouette Curio という製品があることも分かった。残念ながら日本未発売だが、米Amazonから個人輸入できる。日本アマゾンでも輸入している業者を見つけることができる。
今回の記事の本題は、このCameoとCurioの比較である。
◯CurioとCameoの違い(切れる範囲)
両者の性格の違いを生み出しているのは、切り抜く材料を機械に送る機構だろう。XYのY軸方向の移動のさせ方といっても良い。送りの正確さは、Y軸方向の位置決め精度に直結する。
Curioでは必ず専用のトレイ(正式な呼び方はbase。以下、「ベース」と呼ぶ)に材料を乗せ、材料をベースごとY軸方向に移動させる。そのため切り抜ける材料の大きさはベースの大きさに制限され、別売の大きいベースを使ってもほぼA4サイズ(8.5”×12”)が限度である。
Cameoではプリンタの紙送りと同様の機構を持ち、材料をマットに貼り付けるか、またはロール状の材料ならマットを使わず直接に送り機構に入れてY軸方向に移動させる。付属のマットを使った場合で305mm×305mmの範囲、ロール状に巻いた材料を使うことで幅305mm×長さ3m程度までの範囲を切れる。
なおCurioでは、切れる範囲は上記の通りだが、材料がベースの左右(幅8.5”=216mm)からはみ出ず、機械に干渉しないなら、ベースから手前にはみ出ていてもカッティング作業はできるようである。だから例えば大きな材料の端っこだけカッティング加工することは可能である。
◯CurioとCameoの違い(切れる厚さ)
CurioとCameoの材料の送り方の違いは、対応する材料の厚さにも影響している。
前述のようにCameoの送り機構はプリンタ同様のものなので、あまり厚いものには対応できない。
Curioでは材料をベースに乗せて移動させており、ベースと材料の間にスペーサーを入れて、材料表面が刃の届く高さになるように調節している。だから材料の厚さが変わっても、スペーサーの厚さを変えることで対応できる。具体的には、プラットフォームと呼ぶ、1mmまたは2mm厚の2種類のスペーサーを何枚か重ねてベースの上に置き、一番上に粘着性のマットを置き、その上に材料を置いて加工する。プラットフォームの種類と枚数は、材料の厚さに合わせて調節する。プラットフォームを全部外して粘着性マットだけにした場合、最大5mm厚の材料を乗せて機械に送り込める。
ただし、Deep Cut Bladeという一番深く切れる刃でも2mm厚しか切れない。これは、深く切ろうとすると抵抗も大きくなり、機械の負荷も増えてしまうせいだろう。Deep Cut BladeはCurioでもCameoでも使えて(*1)、2mmまで切れるわけだから、CurioもCameoも2mmまでしか切れないと思うだろう。まあそうなんだが、Curioの場合、例えば5mm厚の材料の表面にカッターの代わりにペンを使って絵を描くと言ったことができる。また、もしかして材料を裏返してDeep Cut Bladeで2回切れば4mm厚まで切れるかな、とうっすら期待もしているが、もちろんメーカーの保証はない。
◯CurioとCameoの違い(切る以外の加工法)
CurioとCameoの材料の送り方の違いは、加工方法のバリエーションにも影響しているようだ。
Curio、Cameoともカッターの代わりにペンを付けて材料表面に絵を描くことはできるが、エンボス加工、エッチングができるのは基本的にCurioだけのようである。
エンボス加工とは、紙や金属箔に凹凸を付ける加工法で、クレッジットカードの番号部分などが身近な例だろう。エンボス加工は紙などの材料に工具を押し付けて凹ませるので、紙を貼り付けるマットも適当に凹んでくれないとエンボス加工ができないし、マット自体に厚さがないと凹むことができない。
またエッチングとは、一般的な意味とは違ってSilhouette America社では金属表面を引っ掻いた傷で模様を描くことを言っているらしいが、金属をひっかくので抵抗が大きく、抵抗に打ち勝って材料を正確に送る頑丈な送り機構がいる。
Cameoは材料を送る機構がプリンタの紙送りと同様であり、通過可能な材料(とマット)の厚さは薄くならざるを得ない。また、マットが伸縮したり、抵抗が大きくて送り機構が滑ったりすると正確な送りができなくなる。
Curioの場合はベース自体の厚みがあり、凹むマットも、頑丈な送り機構も実現しやすい。
とは言ってもこれらは相対的な話であり、Cameoでもエンボスやエッチングの工具をつけることはできて、自己責任でエンボスやエッチングをしている人が居るようだ。
なお、(公式には)Curioでのみ工具を押し付ける加工ができることから、押し付ける力がCameoと違うのかと思ったが、仕様上は両者とも2.1N(210gf)で、これは同じであった。
この他、Silhouette America社のオプション品でUV Fabric Inkというものがあって、オリジナルデザインのTシャツを作る例が出てくるのだが、これはCurio、Cameoとも出来て、違いはないようだ。
Tシャツ印刷の方法を詳しく見てみると、Curio、Cameoで直接Tシャツに描くわけではなく、ステンシル(型、マスク)を切り出すだけだった。あとは手作業でTシャツにステンシルを貼ってインクを塗るので、多色刷りが簡単にできると思った人には残念である。
また、Curio、Cameoともトンボを読み取る機能が付いているので、同じ材料を複数回、機械にかける場合の位置決め精度も同様であろう。またCurio、Cameoの制御アプリには、トンボを描く代わりにトンボの形に材料を切り抜かせ、材料を裏返して裏から加工する時に表裏で位置を一致させる機能がある。Curioでの使用例をみたが、おそらくCameoでも使えるだろう。しかし、そもそもエンボスなどをしないCameoでは裏返したい需要が無いだろうが。
以上のようにCurioとCameoの違いは主に、扱える材料の広さ(幅と長さ)、厚さにあり、広い面を加工したいならCameo、厚い材料を加工したいならCurioということになるだろう。
*1 日本での発売元GRAPHTECは、CameoでのDeep Cut Bladeの使用を保証しない。
(2017/9/18追記)
カッティングマシンについて、他のノウハウも加えてこちらにまとめました。
◯カッティングマシンとは?
カッティングマシンとは、コンピュータの周辺機器であり、プログラムされた形に紙などを切り抜くものである。XYプロッタのペンの代わりにカッターが付いたもの、と言った方が分かるかもしれない。手作業で切るよりもずっと正確で細かい切り抜きができる。
また調べて行く途中でわかったのだが、カッティングマシンはアメリカの方が流行っているようで、紙を切り抜く以外の用途も多く、変わったオプションもいろいろ出ている。
◯代表的な製品
日本で売ってるものだと以下のようなものがある。
・ローランドDG STIKA
・GRAPHTEC Silhouette Cameo 3
・ブラザー スキャンカットCM300、CM110
このうち、ローランドDG STIKAは、Macで使うのに別途Adobe Illustratorが必要で大変お金がかかるので、購入候補から外れた。
ブラザー スキャンカットは布が切れる、パソコンなしで使える、というのが特徴で、コンピュータに詳しくない、手芸愛好家などが対象のようだ。
Silhouette Cameo 3 はMacからも使えて、仕様も細かいところまで分かるから、買う前に自分の用途に合っているか確認しやすい。
そこでSilhouette Cameo 3に絞って調査すると、どうやら実際に作っているのはGRAPHTECではなくてSilhouette America社らしい。そしてこのSilhouette America社には、Cameoに並ぶもう一つの主力、Silhouette Curio という製品があることも分かった。残念ながら日本未発売だが、米Amazonから個人輸入できる。日本アマゾンでも輸入している業者を見つけることができる。
今回の記事の本題は、このCameoとCurioの比較である。
◯CurioとCameoの違い(切れる範囲)
両者の性格の違いを生み出しているのは、切り抜く材料を機械に送る機構だろう。XYのY軸方向の移動のさせ方といっても良い。送りの正確さは、Y軸方向の位置決め精度に直結する。
Curioでは必ず専用のトレイ(正式な呼び方はbase。以下、「ベース」と呼ぶ)に材料を乗せ、材料をベースごとY軸方向に移動させる。そのため切り抜ける材料の大きさはベースの大きさに制限され、別売の大きいベースを使ってもほぼA4サイズ(8.5”×12”)が限度である。
Cameoではプリンタの紙送りと同様の機構を持ち、材料をマットに貼り付けるか、またはロール状の材料ならマットを使わず直接に送り機構に入れてY軸方向に移動させる。付属のマットを使った場合で305mm×305mmの範囲、ロール状に巻いた材料を使うことで幅305mm×長さ3m程度までの範囲を切れる。
なおCurioでは、切れる範囲は上記の通りだが、材料がベースの左右(幅8.5”=216mm)からはみ出ず、機械に干渉しないなら、ベースから手前にはみ出ていてもカッティング作業はできるようである。だから例えば大きな材料の端っこだけカッティング加工することは可能である。
◯CurioとCameoの違い(切れる厚さ)
CurioとCameoの材料の送り方の違いは、対応する材料の厚さにも影響している。
前述のようにCameoの送り機構はプリンタ同様のものなので、あまり厚いものには対応できない。
Curioでは材料をベースに乗せて移動させており、ベースと材料の間にスペーサーを入れて、材料表面が刃の届く高さになるように調節している。だから材料の厚さが変わっても、スペーサーの厚さを変えることで対応できる。具体的には、プラットフォームと呼ぶ、1mmまたは2mm厚の2種類のスペーサーを何枚か重ねてベースの上に置き、一番上に粘着性のマットを置き、その上に材料を置いて加工する。プラットフォームの種類と枚数は、材料の厚さに合わせて調節する。プラットフォームを全部外して粘着性マットだけにした場合、最大5mm厚の材料を乗せて機械に送り込める。
ただし、Deep Cut Bladeという一番深く切れる刃でも2mm厚しか切れない。これは、深く切ろうとすると抵抗も大きくなり、機械の負荷も増えてしまうせいだろう。Deep Cut BladeはCurioでもCameoでも使えて(*1)、2mmまで切れるわけだから、CurioもCameoも2mmまでしか切れないと思うだろう。まあそうなんだが、Curioの場合、例えば5mm厚の材料の表面にカッターの代わりにペンを使って絵を描くと言ったことができる。また、もしかして材料を裏返してDeep Cut Bladeで2回切れば4mm厚まで切れるかな、とうっすら期待もしているが、もちろんメーカーの保証はない。
◯CurioとCameoの違い(切る以外の加工法)
CurioとCameoの材料の送り方の違いは、加工方法のバリエーションにも影響しているようだ。
Curio、Cameoともカッターの代わりにペンを付けて材料表面に絵を描くことはできるが、エンボス加工、エッチングができるのは基本的にCurioだけのようである。
エンボス加工とは、紙や金属箔に凹凸を付ける加工法で、クレッジットカードの番号部分などが身近な例だろう。エンボス加工は紙などの材料に工具を押し付けて凹ませるので、紙を貼り付けるマットも適当に凹んでくれないとエンボス加工ができないし、マット自体に厚さがないと凹むことができない。
またエッチングとは、一般的な意味とは違ってSilhouette America社では金属表面を引っ掻いた傷で模様を描くことを言っているらしいが、金属をひっかくので抵抗が大きく、抵抗に打ち勝って材料を正確に送る頑丈な送り機構がいる。
Cameoは材料を送る機構がプリンタの紙送りと同様であり、通過可能な材料(とマット)の厚さは薄くならざるを得ない。また、マットが伸縮したり、抵抗が大きくて送り機構が滑ったりすると正確な送りができなくなる。
Curioの場合はベース自体の厚みがあり、凹むマットも、頑丈な送り機構も実現しやすい。
とは言ってもこれらは相対的な話であり、Cameoでもエンボスやエッチングの工具をつけることはできて、自己責任でエンボスやエッチングをしている人が居るようだ。
なお、(公式には)Curioでのみ工具を押し付ける加工ができることから、押し付ける力がCameoと違うのかと思ったが、仕様上は両者とも2.1N(210gf)で、これは同じであった。
この他、Silhouette America社のオプション品でUV Fabric Inkというものがあって、オリジナルデザインのTシャツを作る例が出てくるのだが、これはCurio、Cameoとも出来て、違いはないようだ。
Tシャツ印刷の方法を詳しく見てみると、Curio、Cameoで直接Tシャツに描くわけではなく、ステンシル(型、マスク)を切り出すだけだった。あとは手作業でTシャツにステンシルを貼ってインクを塗るので、多色刷りが簡単にできると思った人には残念である。
また、Curio、Cameoともトンボを読み取る機能が付いているので、同じ材料を複数回、機械にかける場合の位置決め精度も同様であろう。またCurio、Cameoの制御アプリには、トンボを描く代わりにトンボの形に材料を切り抜かせ、材料を裏返して裏から加工する時に表裏で位置を一致させる機能がある。Curioでの使用例をみたが、おそらくCameoでも使えるだろう。しかし、そもそもエンボスなどをしないCameoでは裏返したい需要が無いだろうが。
以上のようにCurioとCameoの違いは主に、扱える材料の広さ(幅と長さ)、厚さにあり、広い面を加工したいならCameo、厚い材料を加工したいならCurioということになるだろう。
*1 日本での発売元GRAPHTECは、CameoでのDeep Cut Bladeの使用を保証しない。
(2017/9/18追記)
カッティングマシンについて、他のノウハウも加えてこちらにまとめました。
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今日になって、アメリカCricut社がCricut Makerというカッティングマシンを出す予定なのがわかりました。
製品のリリースは8月20日。2.4mmまで切れるカッターが10月に登場予定だそうですが、その他の詳しい仕様はわかりません。
Cricut社は、Cricut Exploreシリーズというカッティングマシンを出してますが、こちらも詳しい仕様が分かりません。
会社のサイトは、布のカットの話題が多く、写真はたくさん載せてますが文章や数字はほとんど出さず、やはり技術に疎い人向けの製品なのでしょう。
投稿: 赤カブのケン(家主) | 2017年8月10日 (木) 16時46分
先月、米Silhouette社が新機種、Cameo 4 を出しました。
注目は、Rotary BladeとKraft Bladeです。
Rotary Blade は、切ってる間に刃の向きを能動的に変化させるカッターで、今までだったら丸くなってしまうような鋭角の形状もきれいに切れます。ただし、刃が、布などを切るカッターでよく見る、円形の刃で、それ以外のものを切るには不向きかもしれません。
また、Kraft Bladeは、3mmの厚さまで切れる(?)らしいです。(もしかしたら3mmは、機械に通せる素材の最大厚さかもしれません)
投稿: 赤カブのケン(家主) | 2019年11月 5日 (火) 17時50分