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2012年8月18日 (土)

オスプレイ、モロッコ事故の最終報告書にもの申す

オスプレイのモロッコでの事故について、最終報告書が「操作ミス」と結論づけたそうだ。
米海兵隊司令官が「機体の欠陥ではない。マニュアル違反の操作が原因」と強調したが、それで「オスプレイは安全」と言いたいのだろうか。操縦の難しさも含めて、機体の特性だろう。
特に、原因となった回転翼の角度の操作ミスは他の飛行機には無い操作であり、まるっきりオスプレイ固有の問題だ。そう言う誤操作を防げるフェールセーフ無しで、パイロットの、言い方によったら職人芸とも言えるような技量に安全を頼っているのか。

例えば、JR西日本の福知山線事故で原因究明を経営陣に任せたとして、「操作ミス」だけ強調した報告書が出て来たらどう思うだろう。

(2015/11/24追記)
5/17にハワイで起きたオスプレイの着陸事故の調査結果が出たが、今回もまた要領を得ない。
 
報告書によると、原因はパイロットの判断ミスであり、視界が不良で着陸地点を変えるべきだったのに変えなかったせいだと結論しているが、視界不良のせいでどこかにぶつけたとか、地面に激突したとかではない。落ちたのは、巻き上がった砂ぼこりをエンジンが吸い込んで出力が下がったためだと、同じ報告書で言っている。
「判断ミス」「視界不良」と「エンジン不調」がどうつながるのかはっきりしないが、両者をすり合わせるとどうやらこういうことらしい。
着陸地点に指定された所が元々砂の多い所で、着陸しようとしたらローターの下降流で砂が舞い上がり、エンジンが吸い込んで出力低下して落ちた。パイロットは、砂ぼこりが舞い上がった時点で視界不良の程度からエンジン停止を予見して、着陸を中断するべきだった、そこが判断ミスだ、と。
 
しかし、パイロットにヘリコプター操縦の経験や教育が無かったとしたら、報告書が言うような予見はできただろうか。
いや、経験があったとしても、オスプレイは普通のヘリコプターより条件が厳しい。機体の割にローター径が小さくエンジンの排気流もあるため下降流はヘリコプターより激しく、また舞い上がった砂が小さなローターのふちを回り込んで上に来やすく、エンジンの吸入口もヘリコプターと違って上を向いていて砂が入りやすいので、逆にヘリコプターの経験から「この程度ならOK」と判断することだってありうる。
こういった間違った独自判断を防ぐには、米軍は、オスプレイ向けに危険な砂ぼこりの量の基準を決めて、パイロットに砂ぼこりの量の見方を教育して、これらを規則にしておくべきであり、もし今回のパイロットがその規則を守らなくて事故が起きていたなら、報告書の判断ミスと言う主張も理屈が通る。しかし、「視界不良」などと遠回しな苦しい言い方をしてる所からすると、どうやらそんな具体的な規則は無くて、パイロットの裁量に任されている(責任を押し付けている)ようだ。
(ちなみに前回の事故報告では、パイロットの規則違反は規則違反と、はっきり言っている )
 
まあ、新しい種類の機体なので規則や運用が試行錯誤になるのは仕方ないだろうが、それなら経験を積むまでの間は採用を徐々に増やしていくなどの慎重さが必要なはずだ。
作った方さえそんな状況なのに、そんな物を自分から進んで大量に取得して基地周辺の住民に「安全だ」と説いて回る人たちは、今回の事故も想定内で、なおかつ十分安全だと言うのだろうか。とても説得力があるとは思えない。

(2017/01/05追記)
2016/12/13に沖縄でオスプレイ墜落事故があった。原因は空中給油訓練中に給油のホースがプロペラに当たり、プロペラが折れ、推進力が不安定になって落ちたそうだ。
この事故の背景にも、機体の特性が大きく影響している。

正面から見て左右の大きなプロペラの隙間から機首がのぞいている感じだし、横から見てもプロペラ回転面から機首の先端までの余裕が他のプロペラ機より少ないから、ホースをちょっと余計に伸ばすとすぐにプロペラに当たりそうなのだ。もちろん、給油パイプは機首から前に精一杯伸ばすだろうが、限度がある。
これはもう、オスプレイ専用に発想を変えた給油システムを作らなければダメなのではないか。

また、プロペラが折れた場合のオスプレイの飛行特性も問題だ。
3枚のプロペラの1枚が折れると回転の重心がずれ、普通より大きなプロペラに機体が振り回されるようになる。しかも、給油機に追いつくためにオスプレイはエンジン全開にしていることだろう。
これに対処するには、緊急にプロペラの回転を止めるか、あるいはプロペラを切り離して投棄する仕組みがいるだろう。

また、片翼のプロペラがなくなると、もう片翼のプロペラだけで飛ぶことになるが、釣り合いを保つ相方がいなくなるとプロペラの回転の反作用で機体が左右に傾く。これに対処するには普通は主翼のエルロンで当て舵をするが、オスプレイの主翼は小さく、そんなことができる余裕はなさそうだ。

また、左右の推進力の差が大きくなり、まっすぐ飛ぶために垂直尾翼の当て舵もいるが、こっちも余裕はなさそうだ。
これらの当て舵のせいで、オスプレイが操縦のために切れる舵の余裕はほぼなくなるだろう。(というか、当て舵では足りなくて、まっすぐ飛ぶのはあきらめるしかなさそうだ。)

着陸も問題だ。
片翼のプロペラがなくなると、両翼2つのプロペラを上に向けた通常の 着陸はできない。かといって、プロペラを前に向けたまま着陸しようとすると、脚が地面に着く前にプロペラが地面にあたり、折れる。折れて飛び跳ねた破片が機体や周囲のものに当たると、これも大事故になる。

やはり着陸寸前にプロペラを切り離して投棄する仕組みが要りそうだ。

これだけやってもオスプレイを実用品にするには十分とは言えず、もっと考えなければならないことがたくさんありそうだ。

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コメント

ニュースにオスプレイが出てきたのを見ていると、上に向けた2つのプロペラの間を軸にして、前後にぶらぶらと、見るからに不安定に揺れています。
プロペラをあと1つか2つ増やしたら、ドローンみたいに安定するんでしょうに。

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